2025/06/09 15:48
「ラウドネス(Loudness)」という言葉を聞いたことはありますか?音楽制作やマスタリングの現場では、音の大きさや迫力を示すこの指標がとても重要になります。
しかし、「LUFS」や「True Peak」「DR」など、専門用語が多くて混乱する人も多いはず。
この記事では、これらの用語の意味と違い、そしてなぜラウドネス管理が必要なのかを、わかりやすく解説します。
🔊 ラウドネスとは?
ラウドネスとは、単なる音量(dB)ではなく、「人間がどれくらい大きく感じるか」という**“体感的な音の大きさ”**のことです。
同じdBでも、低音が強い曲と高音が強い曲では、聞こえ方が違いますよね?この「聞こえ方」を数値化するのがラウドネス指標です。
近年では、YouTubeやSpotifyなどの音楽配信サービスがラウドネスの基準値を設けており、それを超えると自動的に音量が下げられてしまうため、正確な管理が重要になっています。
📏 LUFS(ラフス)とは?
**LUFS(Loudness Units Full Scale)**は、現在もっとも一般的に使われているラウドネスの単位です。
-
曲全体の平均的な音の大きさを示します。
-
例:Spotifyの推奨基準は「-14 LUFS」前後。
LUFSが小さい(例:-23 LUFS)ほど音が小さく、大きい(例:-9 LUFS)ほど音圧が高いことになります。
🎯 マスタリングでは、LUFSを目標値に合わせて調整することで、配信時に自動的に音量を下げられるのを防ぎます。
🚨 True Peak(トゥルーピーク)とは?
True Peakは、実際にスピーカーやイヤホンから出力されたときの最大音量をシミュレーションした値です。
-
波形上では見えない「インターサンプルピーク(ISP)」を考慮します。
-
多くの配信サービスでは、True Peakが**-1.0 dBTP(デシベル・トゥルーピーク)以下**であることが推奨されています。
これを超えると、再生環境によっては「クリップノイズ(音割れ)」が発生する可能性があるため注意が必要です。
📉 DR(Dynamic Range:ダイナミックレンジ)とは?
DRは、曲の中で最も音が小さい部分と大きい部分の差、つまり**音の“起伏”や“ダイナミクス”**を表す指標です。
-
数値が高い:繊細で自然な起伏がある(例:クラシック、ジャズ)
-
数値が低い:常に音が詰まっているように感じる(例:過度なコンプレッション)
🎵 一時期は「音圧戦争」と呼ばれる時代があり、DRを削ってでもLUFSを上げる傾向がありましたが、近年は“適度な音圧と自然なダイナミクスの両立”が重視されています。
⚠ なぜラウドネス管理が重要なのか?
-
各配信プラットフォーム(Spotify, Apple Music, YouTubeなど)は、再生時に音量を自動調整します。
-
LUFSが基準より大きいと、勝手に下げられ、迫力が失われます。
-
True Peakが高すぎると、ノイズや音割れの原因になります。
-
DRが低すぎると、聞き疲れしやすくなります。
つまり、ラウドネスを適切に管理することで、どんな環境でも、適切な音量・音質でリスナーに届けられるのです。
✅ まとめ
-
LUFS:リスナーが感じる音の大きさ(体感的ラウドネス)
-
True Peak:スピーカー再生時の最大音量(ピークノイズ対策)
-
DR:音の強弱の幅(表現力と聞き心地に関わる)
これらを理解し、バランスよく調整することで、あなたの楽曲はよりプロフェッショナルな仕上がりになります。