2025/06/10 16:06
音源制作において「ミックスもバッチリ」「マスタリングも完璧」…そう思っていたのに、iPhoneで聴いた瞬間に「え、なんか違う…」とガッカリした経験、ありませんか?
これはあなたのスキルが足りないわけでも、機材が悪いわけでもありません。単純に“マルチ環境でのチェック”が不十分だっただけです。
なぜマルチ環境でのチェックが必要なのか?
音源は、プロのスタジオで聴く環境だけで再生されるわけではありません。多くのリスナーは、以下のような環境で音を聴いています。
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iPhoneやAndroidなどのスマートフォンの内蔵スピーカー
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カーオーディオ
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ノートPCのスピーカー
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安価なBluetoothスピーカー
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イヤホンやヘッドホン(純正、サードパーティー含む)
これらは、再生周波数帯域も定位感もまったく違う特性を持っています。特にスマートフォン内蔵スピーカーは低音の再生能力が極端に乏しいため、スタジオでバランス良く聴こえていたキックやベースが“存在しないかのように”感じられることも。
「良い音」の基準は一つじゃない
プロの現場で使われるスピーカー(モニタースピーカー)はフラットな特性を持ち、音を正確に再現するためのものです。しかし、リスナーの多くはそういった環境を持っていません。
したがって、ミックスやマスタリングの段階で「異なる再生環境でもバランスが崩れないか?」を確認するのは非常に重要です。これが「マルチ環境チェック」の考え方です。
どうやってチェックすればいいのか?
以下はおすすめのチェック方法です:
1. スマートフォンの内蔵スピーカーで再生
もっとも現実的なチェック手段。再生してみて「スカスカに聴こえる」「ボーカルが埋もれる」などがあれば、ミックスを見直すヒントになります。
2. 安価なイヤホンやヘッドホンで聴く
リスナーの多くが利用する環境です。中域の情報や全体のバランスが崩れていないかを確認できます。
3. 車の中で再生してみる
車のオーディオは中低域が強調されやすい傾向があります。ベースやキックがブーミーに感じるかどうかをチェックできます。
4. ノートパソコンやBluetoothスピーカーで確認
小型スピーカーは音像の再現力が弱いので、ここで違和感がないかをチェック。
iPhoneでガッカリしないために
制作中はどうしても「モニタースピーカー=正義」となりがちですが、最終的に届けたいのは“リスナー”です。
リスナーが実際に使うであろう環境で違和感なく聴こえるように仕上げることが、より多くの人に音源を届けるための重要なポイントです。
せっかくの音源、iPhoneで聴かれて「なんか軽いな」と思われたらもったいないですよね。
まとめ
マルチ環境でのチェックは、プロ・アマ問わず、すべての音源制作者にとって重要な工程です。「スタジオでは良かったのに…」という残念な結果を避けるためにも、制作の最終段階では必ず複数の環境でチェックする習慣をつけましょう。
あなたの音源が、どんな環境でも「いい音!」と思ってもらえるように。
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